『特訓は誰のためなの?』

『魔法少女リリカルなのは』 ―ユーノ・スクライア 編―



「これからユーノくんを鍛えますっ」
「えっ?僕を・・・?」
とある日、高町家のなのはの部屋で、なのはは突然ユーノにそう言い放った。
ユーノは終始ポカーンとしているが、すぐに正気を取り戻す。
「そう、ユーノくんには気迫が足りないのっ!!だから我慢強くなるためにも修行してもらいますっ」
「あのぉ・・・気迫と我慢強さに何の関係が・・・」
「今日は特別に助っ人を頼みましたぁ♪」
「僕の話聞いてるっ!?」
ユーノの言葉を受け流し、なのはが差した先にはフェイトが立っていた。
「じゃーんフェイトちゃんでぇーす!!」
「よろしく」
「あっ、うん・・・よろしく?」
ユーノは多少圧倒されながらもまぁいいかと話を進めさせる。
「じゃあ早速ですが、ユーノくん。えいっ」
「おわわっ!!」
なのははユーノをベッドへと押し倒した。
続いてフェイトが魔法をかける。
するとユーノは見事にベッドの上で拘束されてしまった。
「ちょっ、一体何をっ!?」
ユーノは突然の事にとまどいを隠せない。
「言ったでしょ?特訓ですっ」
それだけ言うとなのははユーノの右側へ、フェイトは左側へと配置した。
「いや、ホント何をするつもり・・・ひゃあっ!?」
ユーノは自身の身に押し寄せてきた感覚に反応すると、自身の身体を見渡す。
「っ・・・もしかして・・・」
「あったりぃ~♪」
「ユーノ覚悟して」
「えぇ~っ!?うん、いや、ぼ、僕はやっぱり遠慮しておこうかなぁ・・・」
「「却下っ」」
そう言って二人はユーノの脇腹や腋の下に手を這わせ始めた。
「あっはっ!?」
「こちょこちょこちょこちょこちょ~っ!!」
なのははユーノの脇腹を細かくくすぐっていく。
「あっはっはっはっはっはっはっはっは~っ!!ちょぉ、なのは~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
「こっちも負けてられないわね。こちょこちょこちょ~」
フェイトも続いてユーノのわきの下を勢いよくくすぐる。
「きゃっはっはっは!!わ、腋はぁ~!!ひゃっははははははははははははははははははははは~っ!!や、やめてよぉ!!あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
ユーノは襲ってくるわきの下と脇腹への刺激に悶絶する。
「さぁ~てユーノくんっ、これからユーノくんは『やめてー』とか『無理』とか消極的な言葉を言う事を禁止にしますっ」
「あはははっ、な、なんでぇ~っへっへっへっへっへっへっへ!!」
「それしないと、ユーノの根性は治らない」
フェイトはそう言って更に激しくわきの下をまさぐる。
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは~っ!!や、やめっ!!(そうだった。やめては言っちゃいけなかった)」
「じぃ~い」
なのははユーノの顔を覗き込む。
「あっはっはっはっはっはっは!!くすぐったーい!!あははははははははははははははははははははははっ!!」
ユーノはギリギリで気づく。
「ユーノくんてやっぱり可愛いね」
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!今それをいう?ひゃはははははははははははははははははははははは~っ!!」
「余所見は禁止、こちょこちょこちょ~」
「ひゃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!ぼ、僕はぁっはっはっはっはっはっはっはっはっは~っ!!余所見なんてぇっへっへっへっへっへっへっへ!!」
「私もフェイトちゃんには負けてられないよね♪それっ、こちょこちょこちょこちょこちょ~っ!!」
なのははいつの間にか趣旨を忘れフェイトとの競争に移ってしまった。
「きゃっはっはっはっはっはっはっはっは~っ!!な、なのは~それっへっへっへ!!趣旨違ってるってぇ~っへっへっへっへ!!ひゃはははははははははははははははははははははは~っ!!」
「む、私も負けない」
そう言うとフェイトもスピードを上げていく。
「きゃっはっはっはっはっはっはっはっは~!!ちょぉ、フェイトまでぇ~っへっへっへっへっへ!!あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
「よしっ、じゃあこちょこちょ競争だよフェイトちゃん!!」
「望むところっ」
「えぇ~っへっへっへっへっへっへっへ!?だからぁ~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
「ねぇユーノくんっ!!どっちのほうがくすぐったい?」
「えへっへっへっへっへっへ!!な、なんでそうなるのぉ~!!きゃっはっはっはっはっはっはっはっは、あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」
「どっち?」
「ひゃはははははははははははははははははははははは~っ、フェイトまで~っへっへっへっへっへっへっへっへ!!」
「ねぇ」
「どっち?」
「あ~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!どっちもくすぐったぁいってぇ~!!」
ユーノは何とか答えるがそれで二人が満足するわけもなく。
「じゃあ勝負が決まるまでだね」
「うん」
「えぇ~!?きゃっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!どっちもくすぐったいんだからぁ~!!引分でいいよねぇ!!ひゃはははははははははははははははははははははは~っ!!」
「「却下っ」」
「だれかぁ~っはっはっはっはっは!!助けてぇ~っへっへっへっへっへっへっへっへっへ!!」
こうしてこの日は特訓ではなく、ただのくすぐり競争になってしまった。